今回は TREK のカーボンフォークを補修塗装させていただきました。
メインカラーはベースがパールカラーのキャンディブルーです。
キャンディカラーはベースがメタリックカラーの事が多いのですが、こちらのフォークはサーフェイサーを使用しないで、カーボン素材に直接パールカラー(恐らく透明のプライマーは塗装している)から塗装されていました。
お預かりした時の傷の状態ですが、綺麗に素材のカーボンから塗膜が剥離されていました。
どの様な原因で剥離したのかはお聞きしていないのですが、養生用の粘着テープなどを剥がす時に塗装の密着力不足な場合、このように剥がれてしまう事があります。
ホワイト、シルバー、レッドのグラフィックは塗装ではなく、厚みのあるステッカーです。
ステッカーを張り付けた後に塗装されたクリヤーが硬化不良を起こしているのか、フォークが全体的にべたべたとしていました。
リペアペイント作業工程
下処理&調色
まずはフォーク全体のべたつきを薬品や600番程度の研磨布を使用して除去します。
おそらく硬化不良のクリヤーだと思うのですが、こういった状態の上から塗装すると縮や硬化不良などのトラブルの原因となるので、綺麗に除去してしまいます。
続いて調色を行います。
メインのキャンディブルーのベースとなるパールカラーを、数十種類のパールから似た粒子のサイズやカラーを選んで調色します。
ベースのパールがある程度決まると、その上に塗装するキャンディブルーを調色します。
例外はありますが、基本的にベースカラーの上に塗装するキャンディカラーは使用する塗料が顔料ではなく、染料タイプの塗料とクリヤーを調合して作ります。
メインカラーに続いてホワイト、シルバー、レッドの3色も調色しておきます。
パテ埋め
続いて塗装が剥離している部分の段差を埋める為の処理を行います。
まずは傷の状態的に傷の縁部分も剥離していると考えられるので、剥離してしまっている塗膜は少し粗目の研磨布でサンディングして除去してしまいます。
剥離部分の除去と足付けが出来たらマスキングをして、カーボン地が出てしまっている部分にだけプライマーとサーフェイサーを塗装します。
傷の範囲が広い場合はカーボンに直接パテを盛るより、一度サーフェイサーを塗装してからパテを盛る方が密着力が強いようなので、手間は掛かりますが現在はこのような方法を取っています。
傷をパテで埋めて成形したらサーフェイサーを再度塗装して下地の完成です。
塗装
下地が出来たらまずはステッカー部分のホワイトを塗装します。
塗装するカラーの順番は隠蔽力の違いもあるのですが、メインカラーのキャンディブルーを先に塗装してしまうとステッカーの輪郭を消してしまいます。
そうなると復元する為には事前にグラフィックのデータ作成などで時間がかかってしまうので、先にホワイトを塗装します。
塗装したホワイトが硬化したら、そのホワイト部分をマスキングしてメインカラーを塗装します。
メインカラーが塗装出来たらクリヤーを塗装して、一度完全に硬化させてしまいます。
硬化が完了したらホワイト部分との境目にできた段差を均しておきます。
続いてステッカーのシルバー部分の塗装をします。
シルバーを塗装したら再度クリヤーを塗装します。
このクリヤーはホワイトの範囲より1~2㎜ほど広くマスキングをして塗装します。
そうする事で元のステッカーの透明部分を再現します。
クリヤーが硬化したらマスキングをしてステッカーのレッド部分を塗装します。
最後にフォーク全体にクリヤーを塗装して塗装完了です。
完成
塗装が硬化したらステッカー部分のシルバーとレッドの塗装で出来た段差をサンディングして均します。
ホワイトとブルーの境目にクリヤーで作った段差は残しておきます。
最後に全体をポリッシングしたら完成です。