今回はトレック マドンのリペアペイントをご依頼いただきました。
リペアペイントする箇所は、チェーン落ちで傷ついてしまったBBシェル横、右チェーンステー下部の塗装欠け・左シートステーの傷になります。
傷ついてしまった部分以外は非常に綺麗な状態のフレームで、お客様が大切に乗られているのが伝わってきました。
リペアペイント作業工程
洗浄
まずは傷周りの洗浄から始めます。
大きなゴミ・砂・オイル汚れなどは、最初の洗剤を使用した洗浄で洗い流してしまいます。
傷の中も汚れが入り込んでいる事が多いので、ブラシを使用してしっかりと洗います。
続いて傷周りを多少広めに2000番~3000番のバフレックスで研いでガラスコーティングなども落とすと同時に足付け作業をしてしまいます。
研ぎ汁を洗い流し、エアーブローで水分を飛ばしたらシリコンオフで拭いて洗浄完了です。
パテ盛り
続いて傷にパテを盛るのですが、そのまま盛ってしまうのはあまりよくありません。
傷は見えている部分が全てではなく、実際は隠れて見えていないだけで傷周りが剥離していることが多いのです。
そういった見えない剥離を処理しないでパテ盛りを行った場合、一見綺麗に治ったように見えるのですが、塗装中に気泡となったり剥離が進行してトラブルに繋がることがあるので、しっかりと処理をしてからパテ盛り作業へ進みます。
下地作り
パテ処理が終わったらサーフェイサーを塗装します。
サーフェイサーを塗装したい部分を囲うようにマスキングをしていきます。
今回は塗装するカラーがホワイトなので、サーフェイサーもホワイトの物を塗装します。
サーフェイサーを塗装すると見えてなかった傷やパテの巣穴などが目立ってくるので、そういった物が出てきた場合は、再度パテ盛りをしてサーフェイサーを塗装します。
完全にサーフェイサーが硬化したらマスキングを剥し、600~800番のサンドペーパーで研いで下地の完成です。
調色・塗装
傷も綺麗に消えたので、調色に入ります。
今回塗装するカラーは3コートカラーになっています。
3コートカラーとは、ベースカラー、パールベース(今回はガラスフレーク混じり)、トップクリヤーの3層からなるカラーです。
今回の様な傷で3コートカラーを調色する場合、まずはパールベースに使用されているパールのカラーと粒子の粗さを見極めて数十種類のパールカラーの中から似たものを選択します。
続いてベースカラーを調色するのですが、上にパールベースを塗装した場合の発色の変化を読んで調色していく必要があり、非常に難しいです。
調色ができたらマスキングをしていきます。
BBシェル横の傷がロゴの文字に近いので、ロゴに色が掛からないようにキッチリとマスキングします。
調色したカラーを、ベースカラー、パールベース、順番でそれぞれボカシつつ塗装していきます。
パールベースまで塗装が終わればロゴのマスキングを剥してしまいます。
ロゴをマスキングしたままトップクリヤーまで塗装してしまうと剥したあとに塗膜の段差が目立ってしまうので、剥してからトップクリヤーをボカシ塗装します。
ポリッシング
電熱ヒーターで温めて塗装が完全に硬化したらポリシングして仕上げます。
1500~3000番のサンドペーパーやバフレックスで塗装肌を整え、ペーパー目消しの少し粗目のコンパウンドと仕上げのコンパウンドの2種類で磨き上げて完成です。